新刊ニュース

私は悪を恐れない

2020年米国大統領選への出馬宣言

エマニュエル・パストリッチ(著)
金 成主(訳)

本書の内容:
日本文学が専門のアメリカの代表的な知識人パストリッチ氏は, ワシントンD.C.において外交と安全保障の活動を行ってきましたが, 2019年に共和党と民主党の腐敗した政治文化にはこれ以上期待できないと感じ, 2020年2月に無所属の独立候補として米国大統領選へ出馬しました. 本書は, 出馬後5ヶ月間にパストリッチ氏が行ったアメリカを全く新しい方向へと導こうとする感動的な12の演説が収録されています. アメリカの権力者が抹殺しようとした本物の大統領候補と希望をここで初めて日本語で紹介します.

著者:Emanuel Pastreich

アジア研究所(The Asia Institute) 理事長

1987年イェール大学において中国学の学士号を取得。1992年東京大学において比較文化学の修士号、1997年ハーバード大学において東アジア言語文化学の博士号を取得。1997年より2005年までイリノイ大学において東アジア文学の助教授。他にハーバード大学、ジョージワシントン大学、韓国外交安保研究院などで講義を行う。

目次

 日本の読者へ
 序文    なぜ無所属の大統領候補として出馬するのか?
 第1章  私は悪を恐れない 〜米国大統領への立候補宣言〜             
 第2章  パストリッチ 2020 綱領17条
 第3章  民主的経済
 第4章  「運動主義」、「不平主義」、「魔術主義」
 第5章  安全保障とは何か?
 第6章  ジョージ・フロイド氏の死後における合気道政治
 第7章  ユニバーサル・ベーシックインカム
          〜経済的解放か? それとも奴隷への第一歩か?〜
 第8章  グローバルガバナンスの未来と地球議会
 第9章  誰がFacebookを所有しているのか?
第10章 米国の「特異な制度」と化石燃料に終止符を打つ
第11章 非武装地帯をなくそう  〜朝鮮戦争開戦70周年を迎えて〜
第12章 民主主義への第一歩を踏み出せ  〜特別選挙が必要な理由〜
謝辞
著者紹介
翻訳者紹介    

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販売価格:1,700円(税抜き)
ISBN: 978-4-8150-2160-3
仕様:オンデマンド(ペーパーバック)
ページ数:152
サイズ:A5 (14.8cm x 21.0cm x 0.92cm)
出版社:デザインエッグ株式会社

電子書籍:   900円(税抜き)
仕様:PDF, EPUB, Kindle
ページ数:116
出版社:デザインエッグ株式会社

                                                    

書評

川崎 隆章
放送史研究家、ラジオディレクター

推薦文

●アメリカ合衆国は、長らくアジアに大きな影響を与え続けてきました。しかし、私たちの多くはアメリカ大統領選挙に投票することはできません。
●ただ、われわれは、たとえばアジアを大切に想い、われわれとの明るい共存ビジョンを持つ候補を声援することができます!
●もし、われわれの声援がアメリカで何かの力を呼び起こし、われわれとアメリカの人々が共に幸せに生きてゆく道が開ければ、それは世界を変える新しい方法となるでしょう。

●ここに、一人の革新的な国家観を持った、アメリカ大統領を目指す理想主義者エマニュエル・パストリッチさんがいます。多くの政治志望者が立候補前から現実社会のいいなりになるなか、パストリッチさんは、社会の維持拡大のためだけに市民を駆り立てるような誘導的なやり方に厳しく批判の矛先を向けています。リーダーシップを強制力の道具として悪用しない決意が見てとれます。
●さらに、この図書ではアメリカの政治に関する根本的な問題についても詳しく解説されており、東アジアとアメリカの関係を知るには必携の資料ではないかと思います。また、人間主義的な皆さんが関心を持つような考え方が丁寧に紹介されています。金成主さんの翻訳も大変読みやすいと思います。
●われわれ東アジアと共に歩んでくれる候補を応援することは、われわれにできる最も積極的な政治参加のやりかたです。ご関心のある方は、ぜひ、この本を購入してください。その代金は彼の今後の政治活動資金の一部となります。そして、あなたがもしパストリッチさんに共鳴したら、それはあなたが『二人三脚方式』でアメリカの参政権を手にしたことと同じです。法律の枠組みを超えて、世界政治に参加する。そんな夢を、まずはこの図書の購入から始めてみませんか?

佐野 一雄
福井県立大学 経済学部 教授

現代資本主義の新たな曲がり角
ある宴会で、お坊さんとご一緒する機会があり、経済学の話になった。話が弾んで「経済学には効用不飽和という仮定があるのですよ」と説明すると、「まるで仏教の無間地獄みたいですね」と仰る。私たち日本人の多くは、食事の時に「頂きます」と言うが、これは「他の命を頂く」という意味で、無駄な殺生を戒める仏教の影響であろう。経済学では、消費の質と量が拡大することで個人の効用が増加し、社会全体としても豊かになることが前提されている。神戸ビーフをたくさん食べたほうが良いという際限のない消費拡大、それを支える生産、動機としての利潤追求、いずれも仏教の視点からすると根本的な問題があることになる。しかし、効用不飽和の仮定は、人間性の不可欠な構成要素ではないのだろうか?簡単に言ってしまえば「あなたもお金はいくらでも欲しいでしょう?」という話である。
さて『私は悪を恐れない』の著者、エマニュエル・パストリッチ氏なら、この話をどう考えるだろうか?今日の社会システムの大部分は利潤追求のための道具であるという。消費者の欲望を最大限に喚起し、消費の質量を拡大させることこそ生産拡大によって利潤を増加させる。そして戦争による破壊さえも、消費と生産の拡大のために利用される。マクロ経済の景気拡大と経済成長は、私たち消費者の満たされることない欲望がなければ成り立たないのである。いわば私たちは、豊かさを求めて無間地獄を生きているのであるが、それが人間本来の生き方なのか?という問いが根底にある。  
この無間地獄から抜け出す方法はあるのか?パストリッチ氏の提案は「Facebook共和国」である。営利企業である Facebookを、国連、世界銀行、OECD、またはグローバルガバナンスに携わっている国際機関などと比較すると、Facebookがはるかに幅広い議論を可能にする参加型システムであることから、Facebookを民主化するという主張である。もちろん所有権についての根本的な問題が不可避だが、はたしてFacebookは誰のものだろうか?実際、ユーザーが一斉に退会したら潰れてしまうだろう。荒唐無稽な無謀な挑戦のように見えて、パストリッチ氏は現代資本主義の新たな曲がり角を見据えているのかもしれない。

河中 葉
アジア研究所 研究員

「私は悪を恐れない」を読んで

政治家は人の上に立ち、権力を握って市民を統治する。そう信じこまされて今まで生きてきたと思う。
アジア研究所の理事長、エマニュエル・パストリッチ氏は、2020年のアメリカ大統領選挙に出馬表明をし、今回、「私は悪を恐れない」という選挙演説を収めた本を出した。
私たちは日頃、何気なく車やバスを使って外出し、スーパーでビニール袋に包まれた食品を買い、喉が乾けばペットボトル飲料やプラスチックカップに入ったコーヒーを買って飲む。石油を使って生きて、企業の流す広告を見て次に欲しいものを見つけ、スマートフォンで動画を見て、テレビで退屈を紛らわす事に余念がない。
パストリッチ氏が選挙演説で訴える内容は、この不自由ないように見える豊かな生活が地球と人類にもたらす深刻な危機についてである。
人間の脳は本能的に次から次へと刺激を求め、蜜の味を味わえないと満足できない仕組みになっているとパストリッチ氏はよく言う。スマートフォンなどが人の脳に与える影響も看過できないものであり、刺激を得てすぐにドーパミンが出る状態に慣れ切ってしまえば、建設的に物事を考えたり、問題を問題と認識して対処する能力が鈍るようになる。だが、人々が次から次へと物を欲する事で利益を得ている大企業は、パストリッチ氏の指摘する事実については断固として否定したいであろう。
企業との癒着がなく、金銭の授受もないアメリカ大統領選候補者は彼くらいなものだと思う。テレビに顔が出る事も新聞で話題にされる事もないが、限りなく自由に近い立場で真実を口にするパストリッチ氏の存在は、アメリカ大統領候補として稀有である。
パストリッチ氏は演説の中で言う。「どのようにして権力者がインターネットを利用して私たちを本能的で、自制がない動物にするのか、これらの重大な社会危機は今の企業メディアでは一切紹介されていません。我々は努力して、この事実が明らかに見えるようにします。」
パストリッチ氏は、特に気候変動の危機や、核戦争が勃発する可能性について言及する。世界的に今年の夏は暑く、北極の氷やシベリアの永久凍土が溶けてきている事について、大メディアは殆ど報じないが、台風やハリケーン、山火事などについてはその都度偶然性があったかのように装う事もある。気候変動が原因と断言するメディアが皆無という訳ではないが、石油で儲ける大企業の機嫌を損ねないように配慮した内容は散見される。
SNS上でシェアするニュース記事やそれに対する各々の意見は、極端から極端な形でそれぞれの意見の「信者」を増やし、市民同士の対立だけが色濃くなってきている現状とも言える。
その対立の裏で広告を打った大企業や大富豪のみがさらに富を得て、議論を繰り広げる市民達は奴隷として安い賃金で働かされ、さらに購買力のみを煽られて搾取されるという事態に世界は傾いてきている。
パストリッチ氏はアメリカの市民に向けてこの文章を書き、訴えているのだが、この「私は悪を恐れない」に載せられた演説の内容は世界の全ての人々にも向けられていて、皆が将来への希望を見出せるものである。
生産性とお金、購買力や権力…そして社会に対する従順さを求められて喘ぐ人々には一見すると非力であるように見える。だが、私たちには真実を知り、自ら発信するという力がまだ残されているのである。
世界に影響を与えて、他国よりも強い立場から戦争や貿易を進めてきたアメリカという国の大統領選挙の候補者に、パストリッチ氏のような鋭い視点を持って行動する人が現れた事は、それだけ今の世の中が資本主義経済の解毒剤を求めるほど危機に見舞われている事実を知らしめてくれる。
私たちが繰り返し刷り込まれ、信じ込まされてきた権力と富の力は、多くの人々を苦しめる格差の拡大と環境破壊にしか貢献してこなかったのである。
今一度、是非多くの方に「私は悪を恐れない」を手にして読んでみて欲しい。

朴 大石
(株)藝術通信 金融部門 代表 &
コラムニスト

「私は悪を恐れない(韓国語版)」を読んで

本書は米国と地球全体の問題を見通して私たちが進むべき道を提示している。
2020年4月7日早朝にパストリッチ教授から連絡があった。米国大統領選への出馬宣言をするので、マスコミを集めて欲しいということであった。いくつかの報道機関に連絡を入れたのだが、直ぐに「ブレークニュース」のムン・イルソク代表が直接インタビュー兼撮影をすると提案してきた。あれから既に5ヶ月が過ぎた。
その時、パストリッチ候補は、「国(米国)からかなりの利益と教育を享受した私のような人々が、国が間違った方向に流れているにもかかわらず、ただ見ているだけなのは問題がある」とし、「平凡な人々の苦しみに深く共感し、この国が進むべき方向のインスピレーションを与えるビジョンを提示する」と強調した。
そんな彼が「私は悪を恐れない」というタイトルで、出馬宣言後の演説などをまとめた本を出版した(韓国語版)。
著者は米国で生まれ、イェール大学、東京大学、ハーバード大学を卒業した。イリノイ大学、慶熙大学校の教授を務め、韓国語、日本語、中国語、フランス語など5カ国語を流暢に駆使して、現在では国際シンクタンクのアジア・インスティテュート(ワシントン、ソウル、東京、ハノイ)理事長職を務めている。
著者は平和主義者であり、人間と共に地球のすべてのことを愛して利するようにしようという弘益主義者である。彼の本は、東洋と西洋の道徳と宗教と哲学、科学と実用が交じり合っている。
少なくとも、どのような立場であろうが、指導者(リーダー)としての役割を担おうとする起業家、NGO、政治家やグローバル活動家などには、この本を読むようにお勧めしたい。
また、現在の地球上で、米国覇権主義世界に住んでいる知識人なら知っておくべきアメリカの問題、気候の問題、富の偏重など不平等の問題、国連の改革問題など、現代の人類が悩むべき問題を創造的で独特な視点でうまくまとめて列挙し、第46代米国大統領候補としての解決策を提示した。例えば、第5章「安全保障とは何か?」では、一般的な軍事的安全保障とは異なり、米国を脅かす安全保障に対して、反知性主義、気候変動や環境汚染、富の格差、新武器の出現などの4つのことを提示したが、私には魅力的な章であった。その四つの脅威を簡単に見てみよう。
まず、反知性主義を米国の最も大きな脅威と見て、米国の下方平準化(平均化)、腐敗したメディアなどを通じた「深い思考の挫折」とした。韓国も大きく違わないと思う。
第二に、中国、ロシア、イランそして北朝鮮の軍事的脅威は極めて可能性が低く、それよりも気候変動が今後10〜20年以内に、私たちの地球を人が住めない場所にする可能性は非常に高いと強調した。
第三の脅威である富の格差は過去30年の間に加速されてきたが、過去6ヶ月の間に前例のない富の集中が起こり、政府と軍は少数の富裕層のおもちゃに転落したと現トランプ政府をなぞらえ酷評した。
最後に、ドローンとロボット、サイバー戦と電波媒体など新武器の出現を、米国に大きな脅威を与えるだろうと示した。東西の学問を渉猟していないと見られない広く深い視野から来る洞察力である。
著者は、第9章の「誰がFacebookを所有しているのか?」では、Facebookはユーザーがコンテンツを作成しているにもかかわらず、Facebook社が所有権を主張して投資家から数十億ドルを貰い、市民を操作して誤導する手段として使用されている部分について問題点を指摘する。
それとともに、Facebookのユーザーが共同の利益を目的として使用する方法を提示しているので、プラットフォームの使用と利益を少数の投資家ではなく、参加者が共同で享受しなければならないという視点に共感するところが少なくなかった。また本書は、各章にアートワークとして簡単に内容を圧縮的に表現したのが興味深かった。
第5章では、「トランプのラッキーデイ」というタイトルで、道徳的堕落、急進的な経済的格差、ファシスト的人種差別主義、核戦争、気候変動などの文がある5枚のカードを「フルハウス」で握っている姿で章の内容を絵画的、本質的に表現するなど、各章に復習効果のあるイラストが有効であった。
著者は現在、米国に反東洋人情緒が広まっていることを心配している。このような時期に韓国、中国、日本を含む米国を網羅する知識と経験、そして深い洞察力と知恵を持つ著者、パストリッチ候補が米国の第46代大統領でなければならない理由をよく表した本である。
この本の中で読者もグローバルな視点で世界を観る「慧眼」を持つことを期待する。
最後に、パストリッチ候補者と最初に大統領選への出馬宣言のインタビューをした筆者が、第46代パストリッチ大統領をホワイトハウスで韓国人で最初にインタビューする日を期待しながら、候補者の善戦を祈願する。

佐野 一雄
福井県立大学 経済学部 教授

現代資本主義の新たな曲がり角
ある宴会で、お坊さんとご一緒する機会があり、経済学の話になった。話が弾んで「経済学には効用不飽和という仮定があるのですよ」と説明すると、「まるで仏教の無間地獄みたいですね」と仰る。私たち日本人の多くは、食事の時に「頂きます」と言うが、これは「他の命を頂く」という意味で、無駄な殺生を戒める仏教の影響であろう。経済学では、消費の質と量が拡大することで個人の効用が増加し、社会全体としても豊かになることが前提されている。神戸ビーフをたくさん食べたほうが良いという際限のない消費拡大、それを支える生産、動機としての利潤追求、いずれも仏教の視点からすると根本的な問題があることになる。しかし、効用不飽和の仮定は、人間性の不可欠な構成要素ではないのだろうか?簡単に言ってしまえば「あなたもお金はいくらでも欲しいでしょう?」という話である。
さて『私は悪を恐れない』の著者、エマニュエル・パストリッチ氏なら、この話をどう考えるだろうか?今日の社会システムの大部分は利潤追求のための道具であるという。消費者の欲望を最大限に喚起し、消費の質量を拡大させることこそ生産拡大によって利潤を増加させる。そして戦争による破壊さえも、消費と生産の拡大のために利用される。マクロ経済の景気拡大と経済成長は、私たち消費者の満たされることない欲望がなければ成り立たないのである。いわば私たちは、豊かさを求めて無間地獄を生きているのであるが、それが人間本来の生き方なのか?という問いが根底にある。  
この無間地獄から抜け出す方法はあるのか?パストリッチ氏の提案は「Facebook共和国」である。営利企業である Facebookを、国連、世界銀行、OECD、またはグローバルガバナンスに携わっている国際機関などと比較すると、Facebookがはるかに幅広い議論を可能にする参加型システムであることから、Facebookを民主化するという主張である。もちろん所有権についての根本的な問題が不可避だが、はたしてFacebookは誰のものだろうか?実際、ユーザーが一斉に退会したら潰れてしまうだろう。荒唐無稽な無謀な挑戦のように見えて、パストリッチ氏は現代資本主義の新たな曲がり角を見据えているのかもしれない。

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